繭玉本虎鏡 和歌紹介復活の狼煙

日記

皆の者、息災か。

名古屋おもてなし武将隊、加藤清正である。

此れよりは我が「虎鏡」の時間じゃ。

 

和歌

 

皆は我が「和歌紹介」を覚えておるかな?

此れ迄綴っておった日記帳、「あめえばぶろぐ」は「清正名城録」にて一首ずつ紹介しておった百人一首。

我ら戦国時代のもののふが親しみ、教養として必須であった和歌。

しかしながら儂、加藤清正は四百年前は晩年になってようやっと少し触れたばかり。

現世に蘇り此れ程和歌に優れた各々様方に囲まれ、儂も今一度学び直したいと思い立った次第。

 

その勉学した内容を現世で言うところの「あうとぷっと」する形で皆に和歌を紹介しておったわけじゃ。

しかしながら最後の更新は三月二十六日の頁。

皆待ってくれておったかは分からんが、再びぽつぽつと始めて参りたい。

 

此度の和歌

 

此度紹介する和歌は僧正遍昭が詠みし和歌。

 

◯天つ風 雲のかよひぢ 吹きとぢよ をとめの姿 しばし留めむ

(あまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ おとめのすがた しばしとどめむ)

 

現世の言葉に直すとすると、次のような内容になろうかな。

「空に吹く風よ、天女の通る雲の道を閉じてくれ。もうしばらく姿を見ていたいから」。

 

此の和歌が詠まれたのは、朝廷で未婚の貴族の娘達が舞楽した折。

その舞う姿が実に美しく、此のままいつ迄も観ていたいという思いをうたった和歌なんじゃな。

現世においても美しいおなごの事を「天使」と表現する事があるらしいが、此の頃の日の本においても「天女」と表現されてあるのは興味深い。

 

詠み手

 

此の和歌を詠んだ僧正遍昭は、俗に言う「六歌仙」のひとり。

「土佐日記」の作者で当代一流の歌人であった紀貫之が「古今集」で取り上げた世に知られた歌人の一人じゃ。

 

貫之曰く「華山の僧正(遍照)は最も歌の体を得たり。然れども、其の詞華にして、実少なし。図画の好女の徒らに人の情を動かすが如し」。

 

今の言葉にすると、「僧正編昭は歌の内容はよく整っているが、言葉が美しいだけで内容がない。絵に描かれたおなごに心動かされるようなものだ」。

となるかな。

 

一見貶してあるように見えるかも知れん。

しかしながら「六歌仙」以外の歌詠みは評価するに値しないという文脈のなかであるが故に、相対的に評価しておると言える。

複雑じゃな!

貫之はおなごになりすまして日記を綴るなどなかなかに複雑な人物。

日の本における「ねかま」の祖であると同時に「つんでれ」の祖であるかもしれん。

 

なにはともあれ、当時の文壇で最も優れた者たちの一人と言われた僧正遍昭の和歌、堪能してくれただろうか。

此の者、実は桓武天皇の孫である。

そして日の本一の美人と言われる小野小町との恋も有名な貴公子じゃ。

またいつか紹介して参りたいと思う次第。

 

此れ迄の和歌

 

最後に、此れ迄紹介して来た和歌を改めて書き置いておく。

もし気になるものが見つかったならば、

以前の日記帳より、我が「清正名城録」を見てみてちょうよ。

名古屋おもてなし武将隊オフィシャルブログ Powered by Ameba
名古屋おもてなし武将隊さんのブログです。最近の記事は「武将隊のブログはお引越しでござる!!(画像あり)」です。

 

◯秋の田の かりほの庵の とまをあらみ わが衣手は 露にぬれつつ

◯春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山

◯足引きの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかもねむ

◯田子の浦に 打出てみれば 白妙の ふじの高嶺に 雪は降りつつ

◯奥山に 紅葉ふみ分け なく鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき

◯かささぎの 渡せる橋に おく霜の しろきを見れば 夜ぞふけにける

◯天の原 ふりさけ見れば 春日なる みかさの山に 井でし月かも

◯わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり

◯花の色は 移りにけりな 徒に 我が身世にふる ながめせしまに

◯これや此の 行くも帰るも 別かれては 知るも知らぬも 逢坂の関

◯わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人にはつげよ あまの釣舟

では、次の日記帳まで。

さらばじゃ!

 

 

加藤清正

 

◯清正茶論

ついに第三回目「清正茶論」のおんらいん観覧券発売開始じゃ!

此度も古典文学をわかりやすく、楽しく伝えて参るぞ。

古典が嫌いな者も楽しめる、そんな内容でお送り致す。

Just a moment...

 

◯加藤清正の電波茶論

すたんどえふえむにて語る、我が個人電波局。

神社仏閣や仏教、神道、また古典文学についてわかりやすく紹介しておるぞ。

加藤清正の電波茶論 | stand.fm
名古屋おもてなし武将隊が一角、戦国大名加藤清正の陣所。 古典文学を楽しく、分かりやすく伝える催し「清正茶論」の電波遠征の陣である。 この場では古典文学に限らず、徒然なるままに我が言葉を発信して参る。 流行り病に負けず、皆で戦って参ろうぞ! 主な題目 戦国時代、歴史、日本史 寺、神社、御朱印 酒、日本酒 侍、武士 ◯名古...

 

コメント

  1. 相州姥桜 より:

    清正様、今晩はでございます!
    『しょうるぅむ』で「百人一首解説を再開して下さいませ」とお願いした者にございます!
    お取り上げいただいたばかりか、こんなに早く続けて下さって、感謝の言葉しかございません。

    清正様が和歌の解説をしてくださるようになってから、百人一首の本を数冊読みました。
    聞き覚えのある歌が多い中で今日の歌も馴染みがございましたが、詠み人については存じ上げませんでした。
    歌の感じから色男?な印象ですが、実のところは如何だったのでしょうか(笑)
    またお話が聞けたらと思います。
    清正茶論も電波茶論も楽しみにしております。
    ありがとうございました。

  2. ようこ より:

    清正様こんばんは。

    和歌紹介を再開してくださり、ありがとうございます。
    私は前々回の「繭玉本虎鏡」のコメントに、和歌の解説をまたしてほしいということを書いていたので再開はとても嬉しいです!!

    これまでの和歌の紹介は、時々読み返していました。今宵の電波茶論でも取り上げてくださったのですね。ありがとうございました。

    これからも日記帳の更新を楽しみにしています。

  3. 氷のかさね より:

    清正さま
    こんばんは
    百人一首の紹介ありがとうございます。
    もう12首も解説されていたんですね。
    あとまだ88首ありますから、楽しみに待ってます。
    楽しみといえば、八月は清正茶論と盆踊りも。
    あ、その前に週末の毎月武将隊も期待しています。

  4. 小姓里洋 より:

    毎回認めていたので、嬉しいです♪

    首をなが~~~~~~くして、待ってました!

    板書、捗ります♡

  5. りーくん より:

    清正様
    おはようございます。

    和歌紹介再開、
    ありがとうございます。
    清正様の百人一首の説明がわかりやすいので
    再開してくださって嬉しいです。

    僧正遍昭の和歌だけでなく
    為人も興味深いですね。

  6. 祐衣 より:

    清正様〜〜〜〜!今回の和歌、言語訳をそのままの言葉で受け取ると、まさに私の性癖(第一回清正茶論でのお言葉を臆することなくお借りします笑)と同じで非常に「同感です」と僧正遍昭に心の中で返事をしてしまいました。

    私は…何と言いますか…昔から舞台で可愛らしく美しく舞うおなごを応援することが好きで…おなごたちのことを常に天使だと思っていて…なので天女という概念もよくわかる…と思いました…。謎の返文になってしまい申し訳ございません…笑
    貴公子と私では違いすぎるので友達になれそうになくて残念です(i _ i )

    ただ、改めて清正様が仰っている「昔も今も実は気持ちや思っていることは変わらない」「古典や和歌は難しいことが書いてあるわけではない」を実感しました。面白いですね*\(^o^)/*
    次回の和歌紹介も楽しみにしております!

  7. み! より:

    清正さまこんにちは⁎⁺˳✧༚

    和歌紹介とってもとーっても待ってました!!清正さま和歌飽きちゃったのかな…ってちょっぴり思ってたので嬉しみの舞です💃

    電波茶論で11首の振り返りをされていたのも聴いたのですが(17分間があっという間でした…)ひとつひとつの歌がハッキリと頭に残っていて、きっと清正さまがこれまでの日記帳で心を込めて紹介してくださっていたおかげだなぁと思いました…!!改めてありがとうございます(*´꒳`*)
    好きな人が好きなことを熱く語ってくださることほど嬉しいことはないので、これからも楽しみにしてます\❤︎/

    蒸し暑い日が続くかと思いますが、お身体気をつけてくださいね…!!

  8. レリアン より:

    初めて書き込みいたします。
    自分は学生時代に百人一首をやっていたこともあり、今回の記事を興味深く拝見いたしました。

    自分の好きな歌は、紫式部の歌ですね。

    またの更新を楽しみにしています。

タイトルとURLをコピーしました