又左趣記 馬物語 第二話

日記

又左趣記 馬物語

前田又左衛門記し候

此処では又左趣記としてこの多趣味武将こと前田又左衛門利家が

「手記」ではなく「趣記」として

馬物語、武具録、説異聞、霊日記の四つの章に分け

普段ではあまり知り得ない知識を記して参る

 

馬物語とは

後に松風と呼ばれ戦国一の勇馬である谷風を愛馬とし

その背に乗り戦場を駆け抜けた

名馬を愛し、名馬に愛された儂が

古今東西の素晴らしき名馬達を

その歴史、物語と共に紹介してゆく

第二話 的盧

馬物語第二話は再び中華の歴史に登場する馬

的盧を紹介する

この馬がどんな馬なのかはこれから教えてしんぜよう

的盧(てきろ)

的盧(てきろ)は三国志に登場する馬で劉備玄徳の乗馬とされる

実は的盧というのは名前ではなく

この馬の特徴の事を指す言葉で

古代中国では額に白い模様がある馬を的盧呼んでいた

このような特徴を持つ馬は凶馬とされ

騎乗したものを不幸にする、最悪の場合死に至らしめると言われておる

劉備玄徳

この的盧の主である劉備(りゅうび)玄徳(げんとく)は

後漢、三国志の頃実在した人物で

漢朝の第六帝の子である中山靖王(ちゅうざんせいおう)劉勝の末裔とされている

皇帝の一族の庶流ながら、むしろ売りの子として育つ

しかし、荒廃した漢朝をもり立てるべく立ち上がり

最終的には蜀朝の初代皇帝となった人物である

劉備と的盧

ある時劉備は敵から接収した中に素晴らしい馬を見つける

これを見た劉備はこの馬は千里の馬に違いないと大層喜び、自らの持ち馬とする

当時、劉備が身を寄せ大恩のあった劉表(りゅうひょう)にこの馬を献上しようとした所

劉備の事をよく思っていなかった蒯越(かいえつ)に凶馬であると指摘され突き返されてしまう

更に劉備は反劉備勢力の蔡瑁(さいぼう)に命を追われる事となるが

その逃亡の際乗っていたのがこの的盧であった

的盧に凶馬の相があるのを承知で劉備は

「馬に自分の命運を妨げられることなどあり得ない」と言い放ち、的盧を駆けさせたのである

しかし、劉備は逃亡の最中、河中に取り残されてしまう

そこで劉備は「的盧よ我が運命を妨げるのか」と声を上げたところ

的盧は一跳びで河を飛び越え、劉備の命を救ったという

まとめ

以上をふまえ、この的盧を評すると

凶馬の運命を覆した名馬と言ったところか

昔は馬の相から良馬を見出だしていたが

真の良馬は相だけでは分からぬものかもしれぬ

では

此にて仕舞いじゃ!

前田又左衛門利家

コメント

  1. おぐり より:

    利家様が馬に乗ってる姿、ぜひ見てみたいですね(^ ^)

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