又左趣記 説異聞 第二節

日記

又左趣記 説異聞

前田又左衛門記し候

此処では又左趣記としてこの多趣味武将こと前田又左衛門利家が

「手記」ではなく「趣記」として

馬物語、武具録、説異聞、霊日記の四つの章に分け

普段ではあまり知り得ない知識を記して参る

説異聞とは

又左趣記 説異聞では

この隻眼説、切支丹説等、現世において様々な諸説を囁かれる

儂、前田利家が世界中に蔓延る様々な説について紹介して参る

今回の説は

今回も歴史上の人物に関する説じゃ

もし、誰もが習うあの人物が架空の人物だったら!

皆も衝撃を受けるであろう

と言うことで今回は

聖徳太子架空人物説

である

では、何故この様な説があるのかを説明しよう

聖徳太子とは

聖徳太子(しょうとくたいし)は本名を「上宮之厩戸豊聡耳命(かみつみやのうまやとのとよとみみのみこと)」といい

一般的に聖徳太子や厩戸王(うまやとおう)と呼ばれる事が多い

生まれは西暦574年頃とされており

飛鳥時代の人物である

当時の天皇であった推古天皇の執政として政を取り仕切り

十七条憲法や冠位十二階制等を作ったと言われる

また、かの法隆寺を建立したのもこの聖徳太子である

聖徳太子の人間離れした逸話

こんな聖徳太子だが、上記のみでは優れた政治家なのは分かるが

架空の人物と言うほどの印象は無い

しかし、この人物にはとても常人では考えられない様な逸話が沢山ある

産まれる前・・・

聖徳太子が産まれる前

聖徳太子の母はある日、口から観音様が入られ聖徳太子を身籠ったとされており

仏の化身であることを示唆している

これは異国の教祖が誕生する折にも似たことがあることから

やはり聖徳太子は産まれる前から常人ではなかったようだ

産まれた直後・・・

聖徳太子は厩(馬小屋)で産まれたと伝えられており

名前の厩戸王もここから来ている

又、産まれてすぐ言葉を発したという伝説もある

特技は・・・

こちらは有名な話だが、聖徳太子は同時に十人の話を聞き分け、的確な返しが出来ると言われているが

書物によっては齢十一にして三十六人の話を同時に理解したとも記されており

本名にもある豊聡耳(とよとみみ)とはこの逸話からつけられたものである

因みに儂の友でもある秀吉の後の苗字の豊臣(とよとみ)とは特に関係はない

馬で・・・

聖徳太子は献上された多くの馬の中から一頭、神馬を見つける

そしてその馬に跨がると

たちまちのうちに天高く翔び

富士を越え、関東へとたどり着いたとされる

こんな馬がいたら儂が欲しいくらいである

聖徳太子が架空とされる理由

以上の事からも分かるように

聖徳太子には明らかに脚色された逸話が多く残っている

しかもこれらは聖徳太子の死後に記されたものばかりで

一級資料とされるものですら百年以上経過しているものがあるほど

さらにこれらの後付け伝説は引用されたものの可能性が高く

仏教、基督教を始め異国の伝説を取り入れたのではと考えられるものが多数見受けられる

これらのことから聖徳太子という人物は

後の荒れた世で、人々に希望を見せるために創られた英雄譚なのではないかという説が出来上がるのである

まとめ

つまり聖徳太子は

実在してもしなくても人々を導く英雄

と言えるじゃろう

いつの世でも人を勇気付ける英雄というものは必要とされており

特に日ノ本では古くからそういった求心力を欲する考えがあったということじゃな

それでは

此にて終いじゃ

前田又左衛門利家

コメント

  1. あっ より:

    利家様今日もお疲れ様です。
    とよとみ!とよとみですね!って思ったら秒でバッサリいかれててちょっと無念でした。
    多分伝聞のうちにどんどん頑強なおヒレがついていったんでしょうね。いつの時代も変わらないものですね。
    私は落とし穴にツナをいれるタイプの聖徳太子が好きです。

  2. 深草飛步 より:

    加賀様、本日もお疲れ様にございます。

    聖徳太子…に関する逸話(と言ってよいのでしょうか)をこう一括りに見せてもらうと、だいぶおそがいような気もしつつ
    指摘されている様に、人々に広めるための仏教説話の様な要素もあるのかなぁ、という印象も受けました。

    あと、今回に限りませんが加賀様の文章の上手いこと…最後をしっかり締めてくる巧さもうさすがとしか言いようがありません。

    それでは、日記帳の更新ありがとうございました。
    どうぞお体にご自愛してお過ごしください。

  3. イャアオ! より:

    利家様おはようございます

    聖徳太子架空説聞いた事ございます
    中々面白いお話ばかりでそれは架空説も出ますよね
    楽しいお話またお聞きしたいです

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