又左趣記 霊日記
前田又左衛門記し候
此処では又左趣記としてこの多趣味武将こと前田又左衛門利家が
「手記」ではなく「趣記」として
馬物語、武具録、説異聞、霊日記の四つの章に分け
普段ではあまり知り得ない知識を記して参る
霊日記とは
かつて豊臣秀吉の命にて悪霊が出るという城で肝試しを行い
見事成し遂げた儂、前田利家が
世界中にあるあらゆる幽霊、妖怪、怪物の類いを皆が臆することの無いように紹介して参る
今回の霊日記は
初回となる今回は日ノ本で目撃された妖怪を紹介する
日ノ本は妖怪と呼ばれる存在が多く目撃されており皆も知ってはおるであろうが
今回紹介する妖怪はその中でも特に人々を恐怖へ陥れたものじゃ
その名も・・・鵺(ぬえ)
それでは、鵺がいつ、何をして人々を怖がらせたのか説明して参る
鵺
古くは平安の世、「平家物語」にも登場する鵺は
見た目はまさしく怪物そのもので
頭は猿、胴は狸、手足は虎、尾は蛇になっており
夜中に「ひょーひょー」と気味の悪い声で鳴くという
鵺退治
「平家物語」によると
平安の世の末、丑の刻になると御上の住まわれる御所の上空に暗雲が立ち込め
「ひょーひょー」と恐ろしい声が京の都中に響き渡る
時の天皇陛下であらせられた近衛天皇はこの声を恐れられ
夜も寝られなくなり、果てには病床に伏してしまった
薬も祈祷も効果が無く、元凶を倒す他に無いという判断になった
そこで選ばれたのは当時、弓の名手として知られていた源頼政であった
頼政は山鳥の尾で作った矢を御所の上空に広がる黒雲に向け放つ
すると悲鳴とともに鵺が落ちてきたのでそのまま止めをさしたのであった
退治後
都での鵺退治の後、鵺の死体は鴨川から船に載せて流され、芦屋の浜に打ち上げられた
それを見つけた民衆は塚を作りそれを弔ったという
ここで鵺の伝説は終わりかと思いきや、そうではなく
鵺の死霊は一頭の馬となり、頼政の前に現れる
大変な良馬であったため頼政は木下と名付け持ち馬とするも
平宗盛に取り上げられてしまう
それに激昂した頼政は挙兵するも鎮圧されその身を滅ぼす事となった
この話を鵺の祟りだとする説もある
まとめ
以上をふまえ鵺という妖怪をまとめると
日ノ本最大級に世を乱した妖怪
と言っても過言ではなかろう
我ら武士にとっては恐ろしい逸話をもつ妖怪じゃな
此にて仕舞いじゃ!
前田又左衛門利家
コメント
利家様こんばんは。
伝説上の生き物は創作意欲を掻き立てられるのでしょうか。能や絵巻など様々に表現されてますね。現世だと獅子王絡みの方が有名かも。
名を取られたような形のトラツグミがかわいそうだったりもしますが、鵺自体も、ある意味では…とも思います。
鵺ってなんか不思議な見た目ですね。
すごく可愛いくしたらゆるキャラみたいになるのでわ?
利家様
おはようございます。
夏の暑い日に怪談話は涼しくなりますね。
怪談話が苦手な私は暑いのを我慢します(笑)。