又左趣記 武具録
前田又左衛門記し候
此処では又左趣記としてこの多趣味武将こと前田又左衛門利家が
「手記」ではなく「趣記」として
馬物語、武具録、説異聞、霊日記の四つの章に分け
普段ではあまり知り得ない知識を記して参る
武具録とは
槍の又左と呼ばれ、金色の甲冑を纏い戦場を駆け抜けた儂、前田利家が
古今東西さまざまな武具の特徴、用途、について戦を生業とした武士としての目線から
皆々に紹介しようと思う
今回は?
今回紹介するのは何を隠そう儂が生涯で最も得意とした得物でもある
槍じゃ!
とは言え、儂の用いた槍だけではなく世界中の槍を紹介しようぞ
槍とは
一般的に槍とは
柄(え)と呼ばれる長い棒の先端に
穂先(ほさき)や矛先(ほこさき)と呼ばれる金属製の刃が付いた
長柄武器に分類される武具である
その使用用途は「突き」は勿論、「斬る」「投擲」「打撃」までもが可能で、非常に使い勝手が良い
人類史においてはかなり古くから使用されており有史以前にまで遡る
槍や類似した武器は世界中で使われており
代表的な武具と言えるであろう
持槍
持槍は日ノ本で使われた槍で
長さが一間半以下(2.7m)程の槍を指す
恐らく、皆が槍と聞いて想像するのはこれであろう
馬上や武者が用いることが多く
柄や穂先に装飾が成される事もあった
数槍
数槍も日ノ本で使われた槍の種類で
上記の持槍よりも長く、足軽による集団戦を想定し大量生産された物である
その長さはまちまちで、国や軍団によっても差が出るが
織田信長様により開発された長槍と呼ばれる槍は三間(5.4m)程あった
これは足軽が敵に近付く事なく攻撃出来るようにした工夫で
これにより槍衾(やりぶすま)の有効性が強まった
ちなみに儂が若い頃に使っていた槍は長槍よりも更に長い三間半あった
矛
矛(ほこ)は古代中国にて用いられた長柄の武器で
槍の前身的存在でもある
しかし日ノ本においては槍と矛を区別する考えがあり
槍は穂先が直線的であるのに対し
矛は穂先に丸みを帯びたものを差し
神話や古い時代によく見受けられる
パイク
パイクは欧州を中心に十五世紀頃から使用されている槍の仲間で
日ノ本の長槍のような特徴を持った槍である
長いものでは四間(7.2m)程のものもあり長槍と同じく集団戦に用いられた
欧州ではパイクのような長い槍を用いる歴史が古く
紀元前四世紀頃にはマケドニア王国という国においてサリッサと呼ばれる槍を使い
ファランクスという集団密集戦法を行っていたそうじゃ
日ノ本で長槍が出来た頃と比べると実に千八百年以上も前と言うことになる
ランス
ランスは中世の欧州にて多く使われた槍で
中世欧州の象徴的な物の一つでもあり
現世において最も有名な槍ではなかろうか
ランスは上記の槍達とは大きく形状が異なり
柄よりも穂先が長く、円錐形の穂先の根本に短い柄が付いた独特な形状になっている
これは騎兵が用いる事を想定して作られており
馬の突進力を利用して前方の敵を「突く」事に特化している為である
その為「斬る」事は出来ず、その得物の重量から「投擲」も難しいと考えられる
まとめ
今回のことから槍という武器は・・・
最も合理的な武器
であると言えるじゃろう
人という生物が誕生して一番初めに武器として作られた道具は
最も長い期間使われ続ける事となったのは
その形状が人にとって最も合理的で戦闘に最適であったためであろう
それでは
此にて仕舞いじゃ!
前田又左衛門利家
コメント
多趣味武将利家様こんばんは。
槍もすきですがランスもかっこよくて好きです。見た目が!
ゲームではよく見ますけど実際に使ってるところってあまり見ないので、槍の使い方を知った時は驚きました。
リーチを取ることができるからその分反撃されにくいんですかね?今はさまざまな火器があるから活用できるのかどうかと考えると…なんにせよ使われないのが一番ですねー。
利家様
おはようございます。
利家様から槍のお話を聴くことができて嬉しいです。
長得物にも種類がたくさんあるのですね。
利家様の長槍での御出陣がまた拝見したいです。